Ⓒランページ
診察台に仰向けに寝かされたキミの前には白衣を着たクワガタがいた。
「ふぉっふぉっふぉっふぉ」
クワガタは笑って、キミの口に爪を当てた。
「これはもう抜くしかないね、ふぉっふぉっふぉっふぉ」
クワガタはキミの口に前あごに付いたハサミを当てがった。
「本当に、後悔しないね?」と黒猫がキミに聞く。キミは返事をする代わりに右手を挙げた。
「じゃあ、抜くよ。ふぉっふぉっふぉっふぉ」
ハサミがキミの奥歯を挟む。右にぐりぐり、左にぐりぐり。とんでもない激痛が襲う。キミは必死に両手の拳を握りしめて耐える。
「覚めろ。覚めろ。覚めろ。覚めろ……」
心の中で念じる。それを感じ取った黒猫が「くくっ」と笑った。
キミが横目で黒猫を見る。