Ⓒランページ




プリセットクソ野郎。


キミは年齢不詳東京住みのこの男に、そんなあだ名をつけた。


なんてつまらない会話をするんだろう。年齢や住んでいる場所が気になるのはわかる。でも、それをストレートに聞くところがなんだか面白味がない。


とはいっても、これが普通なのだとキミは思った。


男は大抵みんなこうだ。必ず年齢と住んでいる場所を聞いてくる。それを聞いたところで、本当かどうかなんてわからないし、正直何歳でどこに住んでいるとか聞くと、幻想的な世界から、現実へと引き戻されるような気がして興が冷める。


その点、昨日話した彼はいい。初めはめんどくさいとか、気持ち悪いと思っていたけど、回りくどくてそこが面白い。暗号を解いているみたいな感覚。ここでの会話はログが流れるけど、私たち二人しか通じないんじゃないか、ここには二人だけの世界があるんじゃないか、思わずそう思ってしまう。


あとこのプリセットクソ野郎の嫌いなところは、「w」を多用すること。


「w」は笑っていることを表すことだが、これを多用されるとこれまた興が冷める。女子特有の愛想笑いと同じで、本当にこの人は面白いと思って笑っているのか、わからない。


そんなプリセットクソ野郎が次に聞くこと。キミはもう十分わかっていた。



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