Ⓒランページ
男の言葉を聞いて、キミは一瞬で興味を持った。
「電子書籍ってどういうものなの?」
「ネットで買ってタブレットやスマホなんかで見ることができる本やマンガのことだよ」
「へえー、じゃあ作家さんなんだ?」
「売れてないから声を大にして言えるもんじゃないけどね」
それでもキミはすごいと思った。近くに小説を書いている人がいるなんてという驚きと憧れ。小説を書く人は文芸部の連中なんかで見たことがある。
でも彼は電子書籍を書いていると言う。その差がどれほどのものか実際わからない。でもきっと赤身と中トロくらい違いはあるんじゃないだろうかと直感的に思った。
「どういうのを書いてるの?」
「それはジャンルってこと?」
「うん。ジャンルかな」
「これってのは決めてないんだ。でも、ボーイミーツガールを書くのが好きなんだ」
「ボーイミーツガール?」
「男女が出会ってから始まる物語のことだよ」