Ⓒランページ
それでもさすがに2時を越えると、男の方が「明日、試合があるんだ」と言った。
「そうだったの? ごめんね。こんな時間まで」
「ううん。俺も楽しかったし。ありがとう!」
キミは名残を惜しみながら「また明日も話せるかな?」と打とうとすると、男から友達申請が来た。
「今、友達申請送っておいた。よかったら承認してほしい」
キミは迷わず承認ボタンを押した。男のアバターがペコリと頭を下げるアクションをした。
「明日の試合頑張ってね!」
「うん。ありがとう。キミの予定は?」
「明日は何もないよ。家でゴロゴロする予定」
「そっか。なら、明日もこれくらいの時間に話せないかな?」
「もちろんいいよ! 待ってるね!」
「それじゃ、また明日!」
「うん。また明日!」
キミは手を振る男のアバターが消えるまで、手を振るアクションをタップし続けた。男のアバターが消えると、スマホを閉じ、トイレに行き、それから布団に入った。
「あなたはあの男にはとても勝てない。なら、勝てるにはどうすればいいと思う?」
夢で見た黒猫の言葉を思い出すキミ。「勝てない」とは一体どういうことだろう。そして、「勝てる」ためにすればいいことってなんだろう。