Ⓒランページ
考えているうちに、意識が遠退いて、キミは瞼の裏側を見る。
それを見計らったかのように、黒猫が天窓を爪でガリガリと開け、キミの寝ている枕元に音を立てずに降り立った。
黒猫は爪をキミのこめかみに当てがった。
そして、月の光を頼りにある一点を見極め、爪をキミのこめかみへ素早く刺して、抜いた。
黒猫はスマホを取り出し電話をかける。「今日の分、終わったわよ。ええ、そうよ。もうすぐそっちに行くはずよ」
通話を終え、黒猫はキミの頬にそっとキスをした。
「なかったことにはできないのよ」
黒猫は天窓を見上げた。小太りな三日月にはギターが立てかけてあった。