Ⓒランページ
5、あの人が現実だったらよかったのに。
頬杖ついて運動場に目を向けたキミ。
ちょうど体育の時間で、女子が気怠そうにお喋りをしながらグラウンドを走っていた。
キミは思う。なんてみっともないんだ、と。
もっとしっかり走ればいいのに。あんなにダラダラと。それが可愛いことであるかのように。そんなことないのに。
でも、もし自分もあの中にいたら、きっと同じように走っていただろうなと言うことに気付く。
中には真面目に走っている、眼鏡の地味そうな女子もいて、しかしいくらなんでもあの必死さは少々恥ずかしいところまで来ている(笑)
まるで、幼稚園児相手に、かけっこをしているような、そんな感じに近い。
キミは思う。結局、頑張らないのはみっともないけど、頑張りすぎるのはもっとみっともないと。世間体を無視した頑張りは孤立する。結局は、当たり障りのない程度に足並みを揃える。その積み重ねがきっと世渡りなんだ、と。