Ⓒランページ




彼は自信満々に某有名V系バンドの曲を入れた。そして始まる地獄のリサイタルショー。


鼓膜を叩くけたたましいその声は、凄まじく。まるでゴツゴツと突起の付いた掘削用のドリルを耳の穴に突っ込まれているような感覚。


これは黒板を爪でひっかいた時の音と同じか、それ以上の不快感。脳が溶ける。ドロドロとしたものが全身の毛穴からあふれ出て、キミを満たす。


「ああ、死にてえ」


そう思いながらキミは必死に耐えた。耐えて、耐えて、耐えて……。彼の曲が終わる。そして聞かれる。


「どうやった?」


キミは答える。


「良かったと思います」




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