Ⓒランページ




そのことに対して、僕はキミに聞きたいことがある。


「どうしてそんなことを言ったの?」と。


キミは正直に言えば良かった。「あなたの歌には人を殺す力があります」って。でもそれが言えないキミは、その後も彼の歌を褒めまくった。


カラオケが終わり、部屋を出る準備をしていると、彼が「ちょっとトイレ」と言って先に部屋を出た。キミは内心、「マジか」と思いながらも、レジへ行き、支払いを済ませた。


すぐに彼がトイレから戻ってきて、「ほな、行こか」。その時点で今日という日とお金を無駄にしたキミは後悔しながら、彼に付いていった。


スマホのナビを頼りに歩く彼。その半歩後ろからキミ。


「どこに行くんですか?」とキミが聞くと、彼は「ええとこ」と言った。


「ええとこ?」


「そう。ええとこ」


そして着いたのは、ホテル街。キミは踵を返し、帰ろうとすると彼が腕を掴んだ。



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