Ⓒランページ
そんなことがあったにもかかわらず、キミはネット社会の鉄則を守ろうとはしなかった。
しかし、以前よりは多少誤魔化すようにはなった。その一例がもう既にダンス部を辞めているにもかかわらず、ダンス部であると言ったことだ。
何しろ説明がめんどくさい。こうこうこうでこういうことがあって、それで辞めたなんて話、誰が聞きたいだろうか。
本当は17歳であること、福岡に住んでいることも言わない方がよかったのかもしれない。そうすれば、キミは完全に現実世界と幻想世界を行き来することができた。
中途半端になってしまったのだ。だから、キミは放課後、一人で帰りながらもあの男のことを考えている。
「すべて嘘ならよかったのに」
ふとそんなことを呟いた。でもすぐに首を振って、
「あの人が現実だったらよかったのに」
これこそがキミの本音なのだ。