Ⓒランページ




家に帰り、寝る準備までを済ませたキミは、スマホを開き、公園に出かけた。


適当なベンチを見つけ、そこにアバターを座らせ、友達リストからあの男のプロフィールを開くと、そこにはログイン情報も載っていて、男はログイン中になっていた。


つまり、男はログインしているということを表している。


今は自分の部屋で着せ替えや模様替えでもしているのか、それとも他の誰かとやりとりをしているのか……。


キミは後者を考え、不安になった。


こんな場所だから、誰とどんなやりとりをしてもいい。あの男が男性と連絡を取っている可能性だって当然あるし、ひょっとすると彼女と一緒にこのアプリを楽しんでいる可能性だってある。


にもかかわらず、キミは不安になる。その不安は嫌悪感に変わる。まるであの男が物凄い女たらしに思えてきて、何とか報復してやりたいと考える。報復として一番いい手は「自分も他の男と連絡を取ってますよ、あなただけが特別じゃないから勘違いしないでね?」ということを知らしめること。


そう思い、周りを見回すも、ましな男がいない。アバターの顔のパーツは、みんな一様に同じような組み合わせ。まるで流行っている、映える、孤立したくないという理由だけで高カロリーなタピオカミルクティーを喜んで飲む女のようだ。女々しいことこの上ない。狼社会でコミュニティが成り立っている女とは違って、男は群れる必要がない。キミは自分が女であることを非常に恥ずかしいと感じた。



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