Ⓒランページ
気がつくとキミはケンと1時間も話していた。
「そろそろ寝ようかな」
そうケンが言った。スマホで時間を確認するとまだ23:00だった。
「そうですね。またお話したいです」
キミが名残惜しそうにそう言うと、ケンは「なら友達申請しておくね」と言った。キミは快く了承し、それからバイバイのジェスチャーで別れた。
まだ寝る時間には早かったが、キミはスマホを閉じた。布団に入り、電気を消して瞼の裏側を見る。
青い空と白い雲。そして牧草地に立つ遊牧民族の住んでそうな白いテント。
周りで馬に乗った男。その肩には鷹が止まっている。男は馬に乗って断崖まで行き、腕を振る。鷹が急降下してウサギを仕留める。ガッツポーズする男。そして、鋭い鉤爪で体を押さえつけられたウサギ。
そこまで見たところで、耳に聞き覚えのある音。キミは目を開ける。暗い部屋にぼんやりと薄明かり。スマホを見ると、あのアプリのトークでメッセージが来ていた。
「今から話せないかな?」
メッセージの送り主はあの男だった。