Ⓒランページ
「実は俺は病気を持っている」
反応に困る男の意外な告白に、キミは思わず拍子抜けした。なるほど。確かに告白だ。でもまさか。こんな告白だとは思っても見なかったし、クイズにされてもわからなかっただろう。
「病気? どんな?」
「病名は言えないけど、神経衰弱になる。閉鎖的な空間、例えば映画館や電車の中、卒業式なんかの式典や全校朝礼なんかでも発作が出る」
「それってどんな発作なの?」
「吐き気や動悸、手足の痺れなんかだよ」
キミには思い当たる病名があった。パニック障害。不安障害の一種で、男の言う症状に当てはまる精神疾患。
「そんな病気持ってたんだね。知らなかった」
「うん。それで本題はここからなんだけど」
「うん」
「俺にはこういう病気がある。だから将来ちゃんとした仕事に就けるかどうかなんかわからないし、どこかへ出かけるにも困難だと思う」
「そうだよね。でも薬とかでコントロールできるところもあるだろうし、気長に直せば良いんじゃないかな? よくはわからないけど、気にしすぎるのも良くないと思う」
しかし、男はキミのアドバイスを無視して続けた。