Ⓒランページ
1993年夏のこと。この年は記録的な冷夏で米不足に陥った。
そんなことなど知る由もない僕は、3200gの重量でこの世に頭から自然に、とてもスムーズに生まれた。
性格はやんちゃで活発。マンションの階段の手すりに掴まって、滑りながら降り、どこへ行くにも走った。畦道、スーパーの中、幼稚園の廊下でもどこでも走った。
そして、友達を掴まえては戦隊ごっこをして遊ぶ。包装紙を丸めて作った剣で斬り合いをし、砂を水で固めて作った泥団子を投げ、ジャングルジムをまるで自分たちのアジトのように陣取り、何か揉め事や喧嘩があると素っ飛んで加勢した。
そのくせ泣き虫で、臆病者だった。注射や歯医者では必ず泣いたし、花火や太鼓の音が響くお祭りの時期になると、母親に耳を押さえさせるという傍若無人。
そんな僕だったが、どういうわけか女の子にはモテたと記憶している。26年も経った今、思い返してみると男の子よりも女の子と遊んでいた記憶の方が多かった。恐ろしい記憶の中には、二人の女の子の間に僕が入って、手を繋ぎ、遊んでいたというものもある。