Ⓒランページ




だから僕は普通の人がするように、浩二にどういうことがあったのかと聞いた。浩二は何も言わず、話をはぐらかした。


こっちは真剣なのに、浩二はとことんはぐらかしていく。次第に僕はイライラして、彼を殴った。弱いへなちょこパンチは彼の左頬にヒットした。彼はやっと真面目な顔になって、それから事の理由を話すと言ったが、


「その前に俺も一発殴らせろ」


僕も同じように左頬を殴られた。しかし、不思議と痛くなかった。彼も弱いへなちょこパンチを持っていたらしい。


いや、今思えば浩二は俺の力のことを知っていて、それに合わせたパンチをしただけじゃないのか? 話しながらふとそう思ったので、あえてここに記しておく。


話を戻そう。浩二はどうやら僕とその彼女がメールをしていたり、話していることに嫉妬していたらしい。僕は彼女が浩二のことをどれだけ真剣に愛しているか知っていたから、あまりにおかしくなって、腹を抱えて笑った。


そんな僕を浩二は親友だと言ってくれた。だから僕も26歳になった今でも彼を親友と呼ぶ。



< 63 / 143 >

この作品をシェア

pagetop