Ⓒランページ
修学旅行はハロウィン前の10月中旬頃だったけど、二度目の今回は夏の始まりだったね。
キミは夏休み初日で東京に来た。スーツケースを抱えて「東西線」の文字が書かれた駅の案内板を必死に探した。でも人の波に右往左往して、やっとのことで見つけた小さな文字を頼りに、何とか東京駅から大手町駅へ辿り着き、地下鉄に乗った。
時刻は午後14:00過ぎ。約束の時刻より1時間遅れていた。しかしキミは焦ることなく、スーツケースが動かないよう手でしっかりと持って窓外の真っ黒な景色を眺めていた。差し込む光に少し安堵して、それからまた真っ黒に戻って、その繰り返し。
何度か繰り返したところで、キミは僕にLINEを入れた。
「今、東陽町ってとこ」
僕は最寄り駅へ歩く道すがら、
「外の景色見てて。大きな川が見えてくるから」
そう返信。2分後にキミから返信が来て、
「すごい! なんて川?」
「荒川と中川だよ」
「二つあるの? どっちがどっち?」
「正直わからない。一緒になってるのかな」