Ⓒランページ
でも僕はキミが高校生ということで、喫煙席には座らなかった。タバコなんか家に帰れば吸える。お茶をするといっても小1時間だ。それくらい我慢できる。
「いろんなコーヒーありますね。ケンさんはどれ飲みます?」
「グァテマラかな」と答えた。でも本当はコーヒーはあまり好きではない。コーヒーを飲むと気持ちが悪くなるタチで、飲むときは家でと決めている。
でも僕はキミに合わせてグァテマラコーヒーを。キミはアイスコーヒー。僕のグァテマラコーヒーはサイフォンのままやってきて、キミは「これってどうやって注ぐんですか?」と自分のものでもないのに、わかりきったことを店員さんに聞いた。
「持ち手を持って、そのまま」
とジェスチャー混じりに店員さんは説明した。50代くらいの女性の店員さんで、陰でお局なんて呼ばれてるんだろうなと僕はそんなことを思い、彼女の脳内に入り込んだ。やはりそうで、そのことを自分でも認識しているようだった。ついでに、僕たちが彼女にどう見えているのかについても見てみた。ただのカップルか、それとも兄妹かしら。やはり僕はキミの言うように幼くないらしい。