Ⓒランページ
「どうしてホットにしたんですか?」
アイスコーヒーにガムシロップを入れながらキミはそう聞いた。
「どうしてそう聞くの?」
「だって、暑くないですか?」
「そりゃ夏だからね、暑いよ」
「なら、冷たいもの飲んだ方が良くないですか?」
「そうかもしれない。でも僕はこっちの方が好きなんだ」
「なんか、ケンさんって変わってますね」
「そうかな? 今は夏だけど、味噌汁だって飲むでしょ? シチューだって、おでんだって食べる。別に変わってはないと思うけど」
「そこだけじゃなくて、他にもいろいろ変わってるってことです」
「ほお、例えばどの辺が?」
「そうですね……そう聞かれると思いつかないですけど、周りとは違う気がします」
「周りって言っても、高校生でしょ? 高校生なんてもう8年も前の話だよ」
「それもありますけど、でも、なんか違うんです。うまく言えないですけど」
ならばキミの中を見てみようと思ったが、やめた。さっきの店員さんの中を見たことで、少し疲れていた。力は使い過ぎると減る。それはまるで腕相撲のような感じで、長く使えば使うほど疲れる。彼女がお局と呼ばれているか、僕たちのことをどう思ってるかなんて見るんじゃなかった。くだらない。