Ⓒランページ
今、キミに改めて言うが、僕はキミのことを恨んでいた。
それはキミを殺してやりたいぐらいに恨んでいた。
だから僕はキミに近づいた。キミを殺すために、キミに来てもらった。
この時も、一緒にコーヒーを飲みながらも、アイスコーヒーを飲んだストローを指で拭ったり、前髪を左に流したり、スマホを開いて時刻を、LINEが来ているかどうかを確認したり、そういうちょっとした仕草や、キミのバカっぽい喋り方に心底イライラしていた。
でも、ぐっと堪えて。
「何か頼みたいものがあったら、好きに頼んでいいよ」
メニューを渡した。キミは受け取って、パラパラとめくり、「あ、これ美味しそう!」と言った。
「いいよ。じゃあ、それ頼もうか」
「ケンさんは食べないんですか?」
「うん。食べない。僕、甘いものが嫌いなんだ」
ただ、今は思う。キミよりはマシ、よっぽど。