Ⓒランページ




晩ご飯にはまだ早かったけれど、食べることにした。


キミに改めて何が食べたいか聞くと、やはり「なんでもいいですよ」と返ってきて、それでは困ると思った僕は、デリバリーサイトを開いた。


「この中で好きなものある?」


後ろからパソコンの画面を覗き込むキミに席を譲った僕は、洗濯物を取り込んだ。


「肉吸いってなんですか?」


「肉うどんのうどん無しだよ。ご飯と一緒に食べるんだ」


「へえ、そんな料理あるんですね」


正直僕も肉吸いは食べたことがなかった。味は想像つくけど、それでも一度は食べてみたいと思っていた。


「それにしてみる?」と僕は聞いた。キミは少し迷ってから、


「いいですね。それにしましょう!」


クレジットカードで支払いを済ませる。肉吸いが届くまでの間、キミはフランツ・カフカの名言集をパラパラとめくっていた。



< 98 / 143 >

この作品をシェア

pagetop