Ⓒランページ
晩ご飯にはまだ早かったけれど、食べることにした。
キミに改めて何が食べたいか聞くと、やはり「なんでもいいですよ」と返ってきて、それでは困ると思った僕は、デリバリーサイトを開いた。
「この中で好きなものある?」
後ろからパソコンの画面を覗き込むキミに席を譲った僕は、洗濯物を取り込んだ。
「肉吸いってなんですか?」
「肉うどんのうどん無しだよ。ご飯と一緒に食べるんだ」
「へえ、そんな料理あるんですね」
正直僕も肉吸いは食べたことがなかった。味は想像つくけど、それでも一度は食べてみたいと思っていた。
「それにしてみる?」と僕は聞いた。キミは少し迷ってから、
「いいですね。それにしましょう!」
クレジットカードで支払いを済ませる。肉吸いが届くまでの間、キミはフランツ・カフカの名言集をパラパラとめくっていた。