隠された日記
パッと見た感じは、雰囲気は穏和だが今ま

で苦労を積んできたような目をしている。

そんな男だった。

その男はたちまち、某会社の製品作りの精

神について語り始めた。

聞いているうちに、康則は、自分は父親の

立場ながら今まで苦しんできた我が息子に

何も出来なかったのに、この男は何の由縁

も無いこの子を元気にしているのだと思え

ば、何とも言えない劣等感が芽生えたのだ

った。

(もっと、、この男みたいに大きくなりた

い、、、、)

そして、康則は次の日から、少しでも会社

の規模を広げる事を頭において働き始め

た。

商品のアイデアを熱心にピックアップし、

採用してもらえるよう提出した。

新入社員の育成にも今まで以上に力を注い

だ。

正直、他の社員も自分も、今まではそんな

事を意識せず、楽しく仕事をやっていれば

良いという方向だったが、「少しでもこの

会社を上に上げたい」と言うと、みんな付

いて来てくれた。


今まで出した事のない無理な課題でも残業

をしてやってくれる社員に、日々感謝して

いた。
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