隠された日記
そういえば、「時間に限りがある」と言っ

ていた。きっとお姉ちゃんは、私が助かる

ようにと思ってそれで、、

「どうした?さっきから一体何を!」

美樹子はその人をふりかえる。さっきまで

は見る余裕が到底無かったが、今は見れ

る。

銃を持つ手が震えていた。目は飛び出そう

なくらい大きかった。

(よし、これが最後のチャンスかもしれな

い、行け!) 

「ねえ、私が電話に出て、警察と話をする

わ。私、私があなたを守る!」

「な、何を、、」

男は表情を、自分を見つめるような目に変

えた。

「なぜそんな事をするのか、答えろ。」

男がさらに近付く。怖かった。だが、諦め

るわけにはいかない。ここで死んだらいけ

ない、そんな気がした。

「私が、電話に出てあなたの望み通りなる

ようにするわ。その方がきっと警察も聞い

てくれる。でしょ?」

手に冷や汗がにじんだ。
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