2時と3時の妄想話
「えー、人数が多いためいくつかの試合を同時進行で進めたいと思います。…それでは第1回戦目!ぐんかんvs.ChroNoir!この中で人外は葛葉のみだそうですが叶も実質人外だと思います!!」
「夢追さんうるさいよー」
薄笑いを貼り付けた叶はARの照準を夢追にロックオンした。それに気が付いた夢追は慌てて開戦コールをする。
「それでは!第1回戦目開戦でーす!!」
***
「さぁってと…郡道サン?あなた人間ですけどなんで私と組んだんですか?」
開戦コールと共に聞こえてきた歓声を浴びつつ、相方に問いかけた。一方の彼女はというと、まるで悪役令嬢のようにフンっ!と鼻を鳴らす。
「それは神田くんが心配…じゃなくて!きっと組む相手がいないだろうと思ったからよ!ほらぁ、神田くん友達私以外いないじゃない?」
「ふ、それはそれは…。ご心配どうもありがとう」
「だから心配してないってば!っていうか神田くんも人間でしょ?相手は吸血鬼もいるのよ?どーすんのよ」
一体何で戦う気だったのか、うさぎのぬいぐるみを抱えた美玲は不安そうだ。そんな彼女ににこりと微笑み、1歩前に出る。
「みーたんはそこで見てて?すぐ終わらせるからね」
「は?」
美玲から視線を外し、後輩2人を見据えた。
つい最近気付いたことなのだが、どうやら自分は人間ではないらしい。
ぐっと足に力を込め、たーんっと地を蹴る。
「は??」
理解不能といった美玲の声を背にまずは叶を仕留めるべく一気に近づく。
「え」
一瞬で目の前に来た私に目を丸くする叶。
とりあえずこれで1人は……、
***
「おぉーっとぉ!?あっという間に終わってしまった第1回戦目ぇ!!勝者はー!!?」
興奮気味の実況を展開する先輩はさておき、寝転がり天を仰ぐ神田さんに手を差し伸べた。
「神田さんナイスファイトでした」
差し伸べた手を握り、起き上がると彼は苦笑する。
「ほんとーにあっという間だったなぁ…もしかして叶くんもこっち側なのかな?」
「ふふ…内緒です」
第1回戦目は目にも止まらぬ早さで神田を制した叶と手刀で郡道を昏倒させた葛葉の勝利に終わった。
***
「…鈴原」
「んー?なぁにー?」
次の試合を控えたロアと鈴原。二人の間には妙な空気が流れていた。
「その…言いたくなければ言わなくていいのだ…あのね、鈴原は本当にヒト…なのだ?」
「んー?んふふ…」
謎の笑みをこぼす鈴原になにか冷たいものを感じたロアはさらに続ける。
「こ、ころしはダメなのだ。これは模擬戦と言っていたのだ!だから…っ」
「しーっ!」
遮るようにロアの唇に人差し指を当てる。そしてとても楽しそうに笑った。
「ロアちゃんは何も気にしなくていいのよ。鈴原は鈴原のしたいことをするの。………きっとこれから楽しいことが起こるわ。今から楽しみね!」