2時と3時の妄想話
ペヤングで世界が変わるんです!
私を楽しませて!…って。
「お前…元は人間なんだろ?何喰ってそーなったんだ」
コウを挟んで睨み合う。早くアイツを回収したいところだが、迂闊に手を出せば俺が先に喰われることは目に見えている。
さて、どうするか。
「なに…って。ん〜そぉですねぇ、確かアレを食べたのは蝉がうるさく泣き喚いていた夏の日……」
何故か回想に入り始めた鈴原だが、隙はもちろん無い。大人しく聞くしかないってことか。
「アッキーナさんとペヤング食べてたんですよね、うん。それでなんか足りないなって思って近くにあったデスソースをかけて食べたんですよ〜!なんていうんだろう…美味しかったのかな…?とにかく世界が変わりました!」
拳を作り力説している。ペヤングにデスソース?頭おかしいんじゃないか?
「…あああああああ!!!!あん時か!!!お前1回気ぃ失ったろ!!!」
突然後ろから明那の声(音割れ)が飛んできた。近くにいた叶が俺の意図を汲んでくれたようで、明那に説明を求める。
「どういうこと?もう少し詳しく。…あと興奮しすぎて柵から落っこちないようにね」
「アッハイ!えっとですね、企画で極激辛のペヤングをるるちゃんと食べてたんですよ。そしたら『ん〜るるもう少し辛くても大丈夫かもぉ』なんて言ってデスソースぶちまけやがったんですよね、はい」
明那の説明に唖然とする。そんなんで魔物になれんのか。いや鈴原の体質が異常なのか?
「世界が変わった日から、ロアさんや葛葉さんみたいな魔界の人達が美味しそうに見えて見えて…この選手権、ご馳走沢山あるんですもの!食べなきゃ損ですよっ」
「お前みたいな異質なやつは1回運営に矯正されるべきだな」
俺も最初の頃めちゃくちゃ矯正されたしな(特に人見知り)。
ふう、と息をつき、久々に全てのストッパーを外した。静かに髪が伸び、爪が鋭くなり、目がカッと熱くなる感覚になった。吸血鬼としての力を解放したためにきっと俺の目は血のように真っ赤になっているだろう。
「…ちゅーことで、お前をぶっ倒すから覚悟しろ」