2時と3時の妄想話
僕の力が必要なんですか?まぁ僕もそう思いますけど。
さぁてぶっ倒すとか大口叩いたくーちゃんですが。
「あぁっぶねぇ!!!!」
「ん〜ちょこまかと動き回って食べにくいですね〜…」
るるちゃんの攻撃を防ぐので精一杯のようだ。あ、今髪の毛ちょっと食べられたね。
「くーちゃぁぁああん!」
「やめろぉその呼び方ァ!!」
「ちょっとこっち来れる!?」
「あぁ?!」
僕の呼び掛けに応じたようで、葛葉は小さな隙を見つけて翼を展開させた。
「あは、逃げ切れると思ってるんですかぁ?」
展開させたはいいものの、るるちゃんの攻撃の激しさが増し思うように飛び立てられないようだ。
なにか、いい作戦は無いものか。ここを支配できる"唯一のライバー"もいないし、僕は葛葉に武器を召喚して貰えないと戦えないただの人間だ。ロアちゃんは固まり動けていないようだし、今のるるちゃんに太刀打ちできるライバーは葛葉以外にいない。
「…いや、もう1人いたな。観客とかの保護に回ってなければ」
ちらりと会場内を見渡してみる。
……………案の定いた。
「エクスくーーーーーんっ!」
大声で彼の名を叫ぶ。
「うぇっ!?アッハイ!!!」
傍観していた彼はビクッと肩を揺らしこちらを見た。いつものように鎧を身にまとい、剣を携え。
彼なら、るるちゃんを足止めできる。多分。
「少しの間でいいからるるちゃんを足止めして欲しいんだ!いいかな!?」
「えっ僕ですか!?」
「エビオ!頼む!!」
「エッアッハイ!!」
葛葉はエクスくんが入りやすいように身体を捻りるるちゃんの軌道を逸らす。
ガキィン!!と金属のぶつかり合う音と火花が散った。ついさっきまで観客席にいた彼はあっという間にるるちゃんの目の前に立っていた。
「うわやっぱエクスくんて凄いんだな…」
「ふー、で?叶、なんだ?」
「わあもうこっち来てくれたの?早いね」
上から声が降ってきた。見上げると赤い羽根を生やした吸血鬼が気だるそうに見下ろしている。
「お前が呼んだんだろ。んで?作戦、あるんだろ?」
「あぁ、まぁね」
ふわふわと空中に浮いている葛葉に僕はにこりと笑って見せた。