正反対の二人
「なな、なーな」
電話越しに諒太が私の名前を呼ぶ声が聞こえる。
どうやら電話しながら軽く眠ってしまったようだ。
「ごめん、ちょっと寝てた」
「やっぱり。疲れてるもんね、ゆっくり休んでね」
諒太は優しい。
部活とバイトを両立しているとはいえ、大学生。時間に余裕はある方だと思う。
社会人一年目の諒太の方がきっと疲れているに違いない。けれど諒太はそんな素振りを見ずいつも私を気遣ってくれる、そんな優しい人。
私にはもったいないといつも感じる。
「おやすみ、諒太」
「うん、おやすみ」
3年も付き合うと甘い会話なんてほとんど無くなった。
かと言って冷めているわけでもなく、どちらかと言えば友達感覚に近くなっていると思う。
それがいいのか、悪いのかはわからない。
そう言えば最後にエッチしたのはいつだろう。
思い、出せない。
頭の中でそう考えながら私は眠りに落ちていった。