正反対の二人
「今日友達と遊んでくるね」
いちいち言えとは言われてはないが、習慣になってあるので今日の予定をLINEで送る。
「わかったよ!楽しんでおいで」
にっこり笑うスタンプと同時に返信が来る。
諒太は束縛を一切しない。友達は大切にしないと、という考えの持ち主なので相手が男だろうと何も言わない。サシ飲みはあまりいい顔はしないが。
逆も然りで、私も諒太に対して縛ることはない。自由でとてもいい関係だと思う。こういった男の人は少ないのじゃないか、と周りの話を聞いて思う。
かと言って全くプライベートに介入しないわけでもなく、一度諒太が珍しく怒った時があった。
それは諒太より1つ上、私からすると3つ上の先輩が私に好意を寄せてるとわかった時だった。
私と諒太の関係は部内に内緒にしていたので、私は彼氏がいないと思われていた。
もちろん、その先輩は彼氏がいないから誘ってきたのであって全く悪くないのだが部活中にベタベタ絡んでいるのを見てなにも言わずには居れなかったのだろう。
帰宅して電話で私は怒られた。
「あいつがななのとこ好きなのわかってるのになんで仲よさそうに話すの?」
言い方はきつくないが、声がいつもより何倍も低かった。
「先輩だから、そんな素っ気ない態度とれない。そこはわかってほしい」
諒太も自分がただのワガママを言っているとわかったのかそれ以上言わなかった。
諒太が自分の感情をぶつけることはこの時くらいだった。