正反対の二人
02
漠然とした悩みを抱えながら1日は淡々と過ぎていく。
諒太との関係も相変わらずだ。
そんな平穏な時間は意外にも早く終わりを迎えることになった。
ある日のゼミ活動。
「えー、来月の20.21日、東京に企業訪問に行くことになりましたー」
教授がそう行った瞬間、教室内は軽くざわめく。
「それって強制ですかー?」
「まーよっぽと予定がない限りは」
ほぼ強制参加のようだ。
だるいなあ。
東京の企業なんか見たってこんな田舎からそんな所入れるわけないのに。
「東京かー」
「那奈、前行ってたよね」
と話しかけてきたのは田舎っ子らしからぬ綺麗な顔立ちをした大学内の数少ない友達、真緒。
「あー、1泊2日でディズニーと東京観光してきた」
あの頃は楽しかったなあ。
諒太のこともちゃんと好きで楽しかったし。
「新幹線でいくからー、交通費1人2万なー」
「は!?」
真緒と声が重なる。
2万って。
学生は夜行バスで充分でしょ。
「まー東京観光だと思って楽しむかあ」
そういえば、地元で1人東京の大学行ってたっけ。
元気にしてるかなあー。