私の推しはぬこ課長~恋は育成ゲームのようにうまくいきません!~
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『うっふん♡充明くん、今夜は私を寝かさないで』(命名者猿渡)という、えげつないタイトルをつけられた作戦に、私以外の経営戦略部のメンバーは、白熱した会話を繰り広げた。
「ええか、この歳まで童貞だったんやから、妄想が間違いなく爆発しとるやろ。しかもあの人の場合、純情ゆえに夢見がちや。そんで変な趣味に走っていない前提で考えたんやけど、清楚な白い下着姿で、ベッドに横たわってウインクしたら、一瞬で食いつく思うねん」
「わかってねぇな。妄想が爆発してるから、黒系や紫系の際どい下着をモロに見せりゃ、一発で食いつくって」
(問題はその下着を、私が身につけるということなんですけど。どれも似合わない自信がある。そして変な趣味って、いったい――)
相変わらずぶつかり合う猿渡さんと松本さんを見て、原尾さんが苦笑いしながら止めに入った。
「ま〜ま〜、落ち着いテント。須藤課長ならヒツジちゃんとふたりきりという場面になったら、絶対に飛びつくと思ウサギ。確実に須藤課長が襲うシチュエーションなら、裸エプロンなんてどうかナイアガラ?」
「雛川さんは、絶対にそんな格好しないと思います。俺的には、バニーガールがありよりのありかと」
(山田さんの好みは聞いてません。だけど裸エプロンを拒否してくれて、どうもありがとうございます……)
「ちなみにヒツジちゃんは、須藤課長を押し倒すことができる?」
「できません無理です。そんなキャラじゃありません!」
高藤さんがありえないことを口走ったことで、私は瞬時にパニックに陥った。
「ヒツジちゃん、それじゃあ困ります。須藤課長の頭の中は、妄想を拗らせてしまった弊害で、ヤりたいことがいっぱいあるんです。その関係で、自分から動けない仕様なんですよ」
「ヒツジ、経験者だろ。ベッドに押し倒してからキスして、須藤課長の動きに身を任せれば、そのあとは一瞬で終わるって」
「そんなぁ……」
(絶対一瞬で終わらない! 今までの経験上、それだけはわかる!)
「松本さん、わかってませんね。童貞で純情で妄想が拗れてしまってる須藤課長が、ヒツジちゃんをすんなり抱くことができるなんて思えませんよ。服の上から胸を触った時点で、号泣する可能性があります」
「アリエッティ!」
元気よく答えた原尾さん以外、皆の表情が暗く沈んでいく。自分たちではどうにもならない須藤課長の反応にどうすればいいのか、揃って真剣に考えているのがわかったのだけれど。
「あのぅ、私が積極的に行動すれば、須藤課長がスムーズに動くんですよね?」
挙手しながら、思いきって発言してみた。すると高藤さんがわざわざ私の傍までやって来て、利き手をぎゅっと握りしめる。
『うっふん♡充明くん、今夜は私を寝かさないで』(命名者猿渡)という、えげつないタイトルをつけられた作戦に、私以外の経営戦略部のメンバーは、白熱した会話を繰り広げた。
「ええか、この歳まで童貞だったんやから、妄想が間違いなく爆発しとるやろ。しかもあの人の場合、純情ゆえに夢見がちや。そんで変な趣味に走っていない前提で考えたんやけど、清楚な白い下着姿で、ベッドに横たわってウインクしたら、一瞬で食いつく思うねん」
「わかってねぇな。妄想が爆発してるから、黒系や紫系の際どい下着をモロに見せりゃ、一発で食いつくって」
(問題はその下着を、私が身につけるということなんですけど。どれも似合わない自信がある。そして変な趣味って、いったい――)
相変わらずぶつかり合う猿渡さんと松本さんを見て、原尾さんが苦笑いしながら止めに入った。
「ま〜ま〜、落ち着いテント。須藤課長ならヒツジちゃんとふたりきりという場面になったら、絶対に飛びつくと思ウサギ。確実に須藤課長が襲うシチュエーションなら、裸エプロンなんてどうかナイアガラ?」
「雛川さんは、絶対にそんな格好しないと思います。俺的には、バニーガールがありよりのありかと」
(山田さんの好みは聞いてません。だけど裸エプロンを拒否してくれて、どうもありがとうございます……)
「ちなみにヒツジちゃんは、須藤課長を押し倒すことができる?」
「できません無理です。そんなキャラじゃありません!」
高藤さんがありえないことを口走ったことで、私は瞬時にパニックに陥った。
「ヒツジちゃん、それじゃあ困ります。須藤課長の頭の中は、妄想を拗らせてしまった弊害で、ヤりたいことがいっぱいあるんです。その関係で、自分から動けない仕様なんですよ」
「ヒツジ、経験者だろ。ベッドに押し倒してからキスして、須藤課長の動きに身を任せれば、そのあとは一瞬で終わるって」
「そんなぁ……」
(絶対一瞬で終わらない! 今までの経験上、それだけはわかる!)
「松本さん、わかってませんね。童貞で純情で妄想が拗れてしまってる須藤課長が、ヒツジちゃんをすんなり抱くことができるなんて思えませんよ。服の上から胸を触った時点で、号泣する可能性があります」
「アリエッティ!」
元気よく答えた原尾さん以外、皆の表情が暗く沈んでいく。自分たちではどうにもならない須藤課長の反応にどうすればいいのか、揃って真剣に考えているのがわかったのだけれど。
「あのぅ、私が積極的に行動すれば、須藤課長がスムーズに動くんですよね?」
挙手しながら、思いきって発言してみた。すると高藤さんがわざわざ私の傍までやって来て、利き手をぎゅっと握りしめる。