私の推しはぬこ課長~恋は育成ゲームのようにうまくいきません!~
「そうです、間違いありません。ですので本日は一緒に、須藤課長のマンションに帰ってあげてください」

「今日ですか!?」

「そんなん当たり前やろ。ヤられる前にヤらな。あ、これは外から攻撃されることを言っとるだけで、ヒツジちゃんのアレの話と違うで」

 驚きの声をあげた私に、猿渡さんは呆れた口調で返答した。

「早く須藤課長を元に戻さないと、困るのは俺らなんだからな。ヒツジだって、また攻撃される恐れがあるんだぞ」

「ということで、ヒツジちゃんは須藤課長のマンションに遠慮せずにお邪魔して、シャワーを借りてくださいね。絶対ですよ!」

「え……」

 松本さんの苦情のあとに、高藤さんはニコニコ顔で、無理難題を言い放った。

「ええ作戦やね。下着姿よりも、ぐっとクるものがあるわ」

「なにが、ぐっとクるのでしょうか?」

「雛川さんのお風呂上がりの姿。つまりバスタオル一枚体に巻つけた状態で、須藤課長の前に現れるんです」

 猿渡さんが答える前に、山田さんがわかりやすく答えてしまったため、赤面せずにはいられなかった。

「須藤課長、その姿を目の当たりにしたら恥ずかしすぎて、顔を隠すような気がすルンバ」

「隠したら隠したで、ヒツジちゃんが抱きつけばいいだけの話です。そして耳元で『充明くんのはじめてをちょーだい♡』と甘く囁けばOK!」

 原尾さんと高藤さんが互いに親指を立てたら、ほかのメンバーまでなぜかそれを真似し、その場がわっと盛り上がった。その様子を表現するなら、女子校の昼休みに、好きなコの話題でわいわい盛り上がってる感じと称したら、結構ピッタリかもしれない。

 かくてその後も入念な打ち合わせをしている最中に、須藤課長が戻ってきてしまったのである。
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