私の推しはぬこ課長~恋は育成ゲームのようにうまくいきません!~
嬉し恥ずかし、ふたりきりの時間♡
***
会社から自宅マンションまでは、電車で二駅の距離である。時刻は現在午後13時32分。このまま帰宅しても、正直なにもすることはない。
「須藤課長、体調は大丈夫ですか?」
「体調? 皆に心配されるような具合の悪さはまったくないので、こうして帰ることが心苦しいです」
記憶の写真を全部拾うことをせずに、ピックアップして整理したら、気持ち悪さはなくなった。多分、記憶の容量に余裕ができたおかげだろう。
「須藤課長が元気なら、どこかでお茶していきません?」
「……お茶なんて、本当に俺と一緒でいいのでしょうか?」
「だって付き合ってるんだし。そんなの、気にしなくていいと思います」
駅に向かっていた足が、自然と止まる。
「俺の家の近くに、大きな公園があるんです。今日は天気もいいし、そこでお茶しましょう」
「はいっ!」
愛衣さんの利き手を優しく掴み、ゆったりとした足取りで歩きはじめる。
「駅の中にあるコーヒーショップに寄っていいですか?」
「テイクアウトするんですね、なにを買おうかなぁ」
俺の掴んでいる手を愛衣さんが握り返してくれたことが、すごく嬉しかった。
「愛衣さんの好きな物を選んでください。奢りますよ」
「自分の分くらい買います」
「でしたら飲み物は俺が買うので、デザートは愛衣さん持ちでどうですか?」
俺の提案に愛衣さんが大きく頷き、そこからまた会話が広がっていく。
愛衣さんと目と目を合わせつつ、なにげない会話をしているだけなのに、とても穏やかな気持ちだった。こんな贅沢な時間の過ごし方ができることを提供してくれた、経営戦略部のメンバーに感謝しながら、あらためて幸せを噛みしめた。
会社から自宅マンションまでは、電車で二駅の距離である。時刻は現在午後13時32分。このまま帰宅しても、正直なにもすることはない。
「須藤課長、体調は大丈夫ですか?」
「体調? 皆に心配されるような具合の悪さはまったくないので、こうして帰ることが心苦しいです」
記憶の写真を全部拾うことをせずに、ピックアップして整理したら、気持ち悪さはなくなった。多分、記憶の容量に余裕ができたおかげだろう。
「須藤課長が元気なら、どこかでお茶していきません?」
「……お茶なんて、本当に俺と一緒でいいのでしょうか?」
「だって付き合ってるんだし。そんなの、気にしなくていいと思います」
駅に向かっていた足が、自然と止まる。
「俺の家の近くに、大きな公園があるんです。今日は天気もいいし、そこでお茶しましょう」
「はいっ!」
愛衣さんの利き手を優しく掴み、ゆったりとした足取りで歩きはじめる。
「駅の中にあるコーヒーショップに寄っていいですか?」
「テイクアウトするんですね、なにを買おうかなぁ」
俺の掴んでいる手を愛衣さんが握り返してくれたことが、すごく嬉しかった。
「愛衣さんの好きな物を選んでください。奢りますよ」
「自分の分くらい買います」
「でしたら飲み物は俺が買うので、デザートは愛衣さん持ちでどうですか?」
俺の提案に愛衣さんが大きく頷き、そこからまた会話が広がっていく。
愛衣さんと目と目を合わせつつ、なにげない会話をしているだけなのに、とても穏やかな気持ちだった。こんな贅沢な時間の過ごし方ができることを提供してくれた、経営戦略部のメンバーに感謝しながら、あらためて幸せを噛みしめた。