私の推しはぬこ課長~恋は育成ゲームのようにうまくいきません!~
 外部に晒されたソレは、びっくりするくらいに大きくて、熱り勃つ角度も須藤課長のお腹についちゃうんじゃないかってくらいに凄かった。

「愛衣さん、引きましたよね……」

「引いてないですけど、ちょっと驚きました」

(このサイズ、XLっていうのかな。須藤課長のみーたんと名付けたら、そのギャップでこの場の雰囲気が良くなる……わけないか)

「この異様なデカさを人目に晒すのが嫌で、今まで童貞でいました」

「確かに須藤課長の体形からは、想像できない大きさですもんね」

 しゅんとしている彼の気持ちをなんとかしたいのに、かける言葉がまったく見つからなかった。

「愛衣さんすみません。こんなみっともないのをお見せして」

 らしくないくらいに沈んだ声で、私は顔をあげて須藤課長を見る。自身の大きさのせいで、これまで女性とお付き合いできなかった好きな人を、なんとしてでも助けなければと強く思った。

「充明くん、こっちに来てください」

 言いながらバスタオルから手を放して、須藤課長に両手を向けて広げる。怖がっていない、大丈夫だよっていう気持ちを示すことができたらいいなと考えつつ、にっこり微笑んでみせた。

「愛衣さん……」

「ゴムがなくても、一緒に気持ちよくなれることをしましょうよ」

「でも――」

「充明くんってば、私を散々感じさせておいて、このまま放置するとか、逆に酷いことなんですからね!」

 須藤課長の口元がなにかを言いかけて、ふっと噤んでしまう。記憶のある頃の彼なら、間違いなく文句を言ってる場面だろうな。

(本来の優しさを弱さとらえて隠すために、あえてぶっきらぼうな性格を装っていたなんて、本当に不器用な人。だけどそんなところも、今は大好き♡)

「私も充明くんを感じさせたい。大好きなアナタの感じてる姿が見たいんです!」

 私の大きな声が寝室の中に響き渡り、すぐさま静寂の中に溶け込んでしまった。作戦失敗かと思っていたら、須藤課長の大きなため息が耳に聞こえた刹那、視界が大きなもので塞がれる。

 あたたかな温もりに抱きついた瞬間、ベッドの上に押し倒された。
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