先生と私の恋日記
8月6日
祭りは学年ごとに異なる日で行われた。今日は私たち1年生が踊る日。
踊る時は、4人で横1列。それが1学年分あるので、結構な長蛇。決まった分踊ったら、水分補給のために前の2列が後ろに下がるのを繰り返すという仕組みだった。
最前列でみんなを誘導するのは大好きな先生だった。
私に最前列の番が来たとき、
「めっちゃ疲れてんじゃん。」
「めっちゃ疲れましたー。」
「次前来るときはもっとでかい声でな。」
先生と少しだけ話せた。
こんなにかっこいい人が歩いてたら、観客の誰かが惚れちゃうかもしれないと、すごく心配だった。多分、余計な心配だったんだろうけど。
祭りは無事大成功に終わり、すごく緊張したけど、めいっぱい楽しむことができた。
祭り会場から学校までの徒歩数分、先生が私の近くにいたので話しかけた。
「先生、飲み物の差し入れってなんですか。」
「水じゃね?水道水。」
「えっ。」
私は近くにいる英語科の仲良しな先生にも聞いてみた。
「飲み物の差し入れってなんですかね?」
「スポーツドリンクとかなんじゃない?わからないけど。」
「あの先生が水とか言ってきたんですけど。」
私は少し前を歩く大好きな先生を指差して言った。
「先生はお前のことが好きなんだよ。」
「えっ。」
その先生は女子の扱いが上手いから要注意しないと。これは普段の人間観察から私が得た情報だった。
私はいじられやすいタイプなので、こういうノリは慣れている。
「あぁ、やっぱりー。」
口ではそう答えたが、内心冗談でも嬉しくてしょうがなかった。
学校に着くと、玄関の前は飲料の差し入れを求めた生徒で大混雑していた。
私は適当に選んで、人混みを出ると先生は他の先生たちと仲良く話をしていた。
するとそこへ、何人かの女子が先生に写真撮影を求めにいった。私も先生と一緒に写真を撮りたかったが、恥ずかしいという気持ちと、先生は写真とか嫌いだからというもっともらしい理由をつけて頼まなかった。
写真を頼んだうちの1人は私と同じ先生が好きらしい。
要するに"恋敵"(ライバル)ってやつ。
私は少し不安に襲われたが、絶対負けない‼︎
私の方が先生と仲良いって証明してやる‼︎
と燃えていた。