先生と私の恋日記

 12月12日

 チャイムが鳴り、やっと掃除の時間。私は友達を引き連れ、掃除場所へと向かった。

 まだ先生は来ていなかった。とりあえず、廊下にモップをかけていると、先生が来た。

 「お疲れ様です。」

 「お疲れー。」

先生はそのまま窓辺へと向かい、寄り掛かった。

 私は先生と話すために少し急ぎ気味でモップを片付け、さりげなく先生に近寄った。

 「先生、今日部活来ますか?」

 先生はたまーに女バレの練習に来てくれる。でも、最近はほとんど来てくれない。来てくれたとしても見てるだけ。

 「行かない。女バレみんな保健体育の点数悪いもん。」

 「私はよかったですよ。」

 「何点?」

 「80点。」

 「すげぇじゃん。でも他のやつ悪いから行かない。」

 (他の部員は今度お仕置きだわ。)


 「そうだ、先生聞いてください。私、評価上げるために、信頼できる人は誰ですかってところに先生の名前書いたんですよ!」

 「担当のクラスのやつしか丸つけしてない。考えればわかるだろ。」

 「わざわざ"さん"付けまでしたのに。」

 「まじで。」

 先生は爆笑していた。

 評価上げるためってのは嘘。先生が私の解答用紙に丸つけしないのも知っていた。だって、先生は私のクラスの保健体育を担当してないもん。

 だけど、私と先生を繋ぐ小さなきっかけを信じてあえてそうした…。もしかしたら、体育の先生同士の会話にでてくるかもしれない。もしかしたら、会話のきっかけになるかもしれない。実際きっかけになってるし。

 (素直に信頼してるのは事実ですよって言おっかなぁ。)

 なんて思ったりしたけど、先生の前では強がっていたので言うのをやめた。

 私は寒い廊下だということも忘れて、先生との会話に花を咲かせていた。

 後々わかったことだが、保健体育のテストで私は学年で12位、ライバルは1位だったらしい…。


 私も頑張ったのに…。
 

 
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