腕を失った日〜あなたを、守りたい〜
お姉ちゃんと喧嘩をした時には、殴り合ったりすることもあった。そのためか喧嘩には自信があったのだ。しかし、実際は逃げることしかできていない。

「……ごめんね」

叶羽は呟き、美羽を抱きしめる。美羽も泣きながら背中に腕を回してくれた。

一分がまるで一時間のように二人には感じられた。警察のパトカーのサイレンも、銃声も、何も聞こえてこない。しばらく恐怖で震えていた二人は、「何があったのかな?」と話し始めた。

叶羽がそっと美羽の隣を離れ、ドアの前に立つ。その向こうに人のいる気配はない。

「警察が気づかない間に来たのかも!」

叶羽がそう言うと、美羽は「本当!?」と嬉しそうな顔をした。その目からあふれていく涙は、今度は恐怖ではなく安堵からだろう。

「行こう!早く警察に起きたことを話さないと!!」

叶羽と美羽は手をつなぎ、図書室から飛び出す。廊下には誰もいない。薬莢なども落ちていなかった。

「こっちから行こう!裏庭に出られる!」
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