腕を失った日〜あなたを、守りたい〜
「美羽ちゃん!!傷をこのハンカチで押さえて!!止血しないと……」

傷口を叶羽は押さえるが、血は止まらない。ハンカチでは小さすぎるのだ。叶羽は「絶対助ける」と呟き、自分の着ているブラウスを破った。力任せに引っ張ると、ブラウスはビリビリと破れていく。

「包帯がないから、汚いけどごめんね」

痛みで顔を歪める美羽に、叶羽はブラウスを巻きつける。ブラウスをきつく締めると、出血の量が抑えられたような気がした。

「美羽ちゃん、立てる?逃げよう。ここはとても危険だよ」

男性はもう弾を詰め終えたようで、黙って叶羽たちの様子を見ている。いつ銃口を向けられ、発砲されるかわからない。叶羽は恐怖を覚えながら美羽とゆっくり立ち上がった。

「大丈夫、大丈夫……」

美羽にそう言いながら、叶羽はゆっくり歩いていく。その刹那、今度は叶羽の足に激痛が走った。美羽と同じように足が撃ち抜かれている。

「……ッ!!」

感じたことのない激痛に、叶羽は崩れ落ちそうになる。しかし、美羽を助けなければならない。痛みを堪え、また歩き出す。
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