腕を失った日〜あなたを、守りたい〜
話をいるのは、メガネをかけた知的な雰囲気の女の子だ。誰もが大人しいタイプだとわかるだろう。

「でも、叶羽ちゃんのお母さんは喧嘩両成敗なんだね」

「そう!どっちが悪い?って聞いておきながら!!」

叶羽と話しているのは、保育園から一緒の親友である桃崎美羽(ももさきみう)だ。小学校のクラスは一年生から六年生まで同じで、中学生になってからも、一年生と二年生が同じ。

「中学三年生まで一緒だったら奇跡だね〜」

「高校まで一緒になるかも!」

そんな会話をしたことがあるほど、二人は幼い頃から一緒だ。いじめられっ子の美羽を叶羽が守り、叶羽が苦手なことを美羽がサポートをする。そんな二人は、学校でも仲良しとして有名だ。

「そういえば、もうすぐ十月だね」

美羽の言葉に、叶羽がハッとする。さっきまであった仲の悪いお姉ちゃんに対する怒りは消えてしまった。

「文化祭!!」

叶羽は美羽の手を取る。その目はキラキラと輝いていた。
< 3 / 19 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop