総長さま、溺愛中につき。①〜転校先は、最強男子だらけ〜
突然お父さんの転勤が決まり、みんなにお別れをする時間もなかった。
その時の私はまだスマホも持っていなくて、連絡手段もなかったんだ。
偶然、最後にいつもの場所にと思い、早朝にfatalの倉庫に行った時、たまたま春ちゃんがいて……。
その時に、引っごしをすること、そして、みんなにお別れを伝えていてほしいと頼んだ。
『そっか……』
『うん、急でごめんな……』
『ううん、サラが謝ることじゃないよ。……なあ、サラ』
『なあに?』
『俺……サラが好きなんだ。俺と、付き合ってほしい』
今でも、その時のことが鮮明に覚えている。
私はその時まだ……はっきりと恋愛感情というものはわからなかったけど、春ちゃんのことは特別な存在だと感じていた。
優しくて、正義感が強くて……素敵な人だと思っていたから。
『う、うん……』
『……え? ほ、んとに……? いいの?』
『うん……わ、私でよければ……』
春ちゃんは私の返事に、これでもかってくらい幸せそうに微笑んでくれた。