総長さま、溺愛中につき。①〜転校先は、最強男子だらけ〜
私はこの笑顔を守りたいって思ったし、春ちゃんのこと、誰よりも大切にしようって、今でも思ってる。
その告白のあと、ドキドキを噛みしめる間もなく引っごしたから、普通の恋人らしい生活は送れていなかった。
春ちゃんが長期休みの時に私のところに来てくれて、2回だけデートしたことはあるけど……手を繋いだことがあるくらい。
でもこれからは、普通の恋人らしい生活が送れるのかな……。
ふふっ、早く春ちゃんに会って、春ちゃんにも料理を作ってあげたいな……。
さっき、fatalはあんまりよくない噂があるって言ってたけど……あんなに優しい春ちゃんが、野蛮なんて……ありえない。
そんなことを考えているうちに、お鍋ができあがった。
持っていこうとした時、海くんがキッチンに入ってきた。
「俺、運ぶよ。重そうだし」
「あっ……ありがとう」
海くんは「貸して」と私からミトンを取り、代わりにお鍋を持ってくれる。
「いい匂い。由姫はいい奥さんになるよ」
運びながら、そんなことを言ってくれた海くんに微笑み返した。