総長さま、溺愛中につき。①〜転校先は、最強男子だらけ〜
「ほんと、氷高は忠犬だな」
「あ?」
「怖い怖い。……それじゃ、また邪魔するな」
「一生来んな」
海くんの言葉に、拓ちゃんが相変わらず辛辣な反応を返している。
「また明日ね拓ちゃん」
「あ、待って由姫。送ってく!」
「え……! い、いいよ!」
「いや、危ないし……心配だから」
靴を履いて、家を出てきてくれた拓ちゃん。
心配性だなぁと思うけど、拓ちゃんの優しさに笑みがこぼれた。
「こんな地味な女、襲う奴なんかいないだろ……」
ぼそりと、華生くんの声が耳に届いて苦笑い。
そ、そのとおりだよね……。
「いっぺん死なねぇとわかんねぇのか、この学習能力カス野郎は」
正論だけど、拓ちゃんは怒ってくれているのかどす黒いオーラを醸し出しながら華生くんの頭を掴んでいる。