総長さま、溺愛中につき。①〜転校先は、最強男子だらけ〜
会長さんは眠っているのか、少し不規則な呼吸が聞こえた。
少しでもマシになるといいんだけど……。
そう思いながら、苦しそうな会長さんを見つめる。
ふと、自分が風邪を引いた時のことを思い出した。
お父さんもお母さんも共働きだから、風邪を引いた時は誰も家にはいない。
ひとりの部屋で、寂しい気持ちを紛らわせるように毛布にくるまっていた。
風邪を引くと、どうしてかいつも以上に人恋しくなる。
寂しさがいつも以上に膨らむ。
私はなぜか、眠る会長さんが寂しそうに見えて、布団ごしに手を握った。
早くよくなりますように……と、願いを込めて。
ん……。
ゆっくりと、広がっていく視界。
……あ、れ……?
ぼんやりと見えるのは、柔らかい毛布。