総長さま、溺愛中につき。①〜転校先は、最強男子だらけ〜
私なんかでよければ、そばにいさせてもらおう。
会長さんは、私に背を向けるように寝返りを打った。
「……おい」
低い声が響いて、再び首をかしげる。
「はい?」
会長さんは、少しの間何も言わず、黙り込んだあと……。
「……助かった」
ぼそりと、そう呟いた。
顔が見えないから表情はわからないけど、その言葉に頰が緩む。
この人は、不器用な人なのかもしれない。
でも……悪い人では、きっとない。
私はふふっと笑ったあと、会長さんの背中を見ながら口を開いた。
「早く元気になると、いいですね……」
ふたりきりの室内にはずっと沈黙が流れていたけれど、不思議と息苦しさはなかった。
むしろ、無言でも心地よく感じるような空気があって、私はいつの間にかまた、眠ってしまっていた。