総長さま、溺愛中につき。①〜転校先は、最強男子だらけ〜
申し訳なさそうに謝ってくる女の姿に、ますます訳がわからなくなる。
どうしてこいつが謝るんだ……?
普通、礼をねだってくるところだろ、ここは。助けてやったんだぞって、恩着せがましくいうところだ。
布団ごしに手を握っていたのも、俺が女嫌いだとっていうことを知ってたからか……?
「私、向こうの部屋に行っているので、体調がマシになるまで休んでいってください」
挙げ句の果てに、気を使っているのか部屋を出ていこうとした女。
「もし出ていきたかったら、いつでも出ていってくださって構わないので、それじゃ……」
「……待て」
俺はとっさに、手を伸ばしていた。
自分から女に触れたことなんてないのに……躊躇なく、こいつの手を握っていた。
直接触れた手は、驚くほど小さくて――そして、温かかった。
「俺が眠るまで、ここにいろ」
「え?」
女が驚いた様子で俺を見ているけど、一番驚いているのは俺自身だ。