総長さま、溺愛中につき。①〜転校先は、最強男子だらけ〜


 自分が、誰かに対して……行かないでほしいと思うなんて。



「私がいて、眠れるんですか?」

「お前がいたら……眠れた」



 女の質問に、素直に答えてしまった。

 ……おかしい。こんなの、俺じゃない。

 これは熱のせいだ。今は……熱で、頭がおかしくなってるんだ。



「はい、わかりました」



 俺はそう言い訳をして、女を引き止めた。



「……おい」

「はい?」

「……助かった」



 最低限の礼儀として、そう伝える。

 背を向けているから、女の表情はわからないが……。



「早く元気になると、いいですね……」



 そう告げてきた声は、耳に残る優しい声色だった。


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