総長さま、溺愛中につき。①〜転校先は、最強男子だらけ〜
心臓が……ぞわぞわする。
自分でもよくわからない感覚に、眠気は覚めきっていた。
少しして、女の規則正しい寝息が聞こえ始め、女のほうを見る。
こいつ……また寝たのか。いや、こいつの部屋だから、俺がどうこう言う権利はないけど。
知れば知るほど、変な女……。
媚びを売るでもなく、怯えるでもなく……女にこんな反応をされたのは、初めてだ。
何を考えているのか、さっぱりわからない。
でも、こいつのそばは、なぜか心地よくて仕方なかった。
できるならこのまま、ここにいたいと願った自分が恥ずかしすぎて、頭を押さえる。
さっきから、自分が自分じゃないみたいで、気持ちわりぃ……。
はぁ……とため息をついた時、無防備に置かれている女の手が目に入る。
俺は無意識のうちに、その手に自分の手を重ねていた。
……温かい。