総長さま、溺愛中につき。①〜転校先は、最強男子だらけ〜
会長さんには……恩も、あるし……。
ずっと思っていたけど、女嫌いだったら私がこの寮に入室してくることに、会長さんは反対だったはずだ。
お父さんが理事長なら、なんとか別の部屋に私を追いやることだってできるだろうし、なんなら力づくで追い出すことだって、この人ならできるはずだ。
でも……そうしなかった。
無視はされたけど、この人は私を追い出そうとしなかったし、ここにいることを許してくれた。
だから私も……会長さんが困っていたら、力になりたい。
それに、私だって怪しい人を家に入れるような真似はしない。
この人は私に興味なんて微塵もないだろうし、何かものを盗むなんてこともしないだろう。
「私、自分の直感には自信があるんですよ!」
そう言って微笑むと、会長さんはなぜか、私を見ながら目を見開いた。
不思議に思いながらも、そろそろ出る時間だと気づき部屋のドアに移動する。