総長さま、溺愛中につき。①〜転校先は、最強男子だらけ〜
「ありがとう。そう言ってもらえて安心したよ。ちなみに、男子寮だと言うことは黙っていてもらえないだろうか? さすがに女の子を男子寮に入れるだなんて、メディアにでも流れたら大問題だからね、ハハッ」
そう言って笑う理事長に、本当にこの人は理事長なのかな……と、一瞬疑問に思ったのは心の中に留めておこう。
「東、お前も内密にしててくれよ」
「俺がそんなことすると思いますか?」
「ハハッ、そうだな。お前のことは信頼しているよ。親子揃ってね」
さっきまで黙って話を聞いていた舜先輩が、呆れたようにため息をついた。
なんだか、舜先輩って苦労人そう……。
「おっとすまない。無駄話がすぎたよ。それじゃあ、粗方の説明は終わりだ。何か質問はあるかい?」
「いえ、ありません」
「そうか。それじゃあ東に部屋まで案内させるね。キミが素敵な学園生活を送れるように祈っているよ」
「ありがとうございます」
席を立ち、理事長に頭を下げる。
「東、頼んだよ」
「はい。……行こうか、由姫」
首を縦に振って、舜先輩に「はい」と返事をした。
「お? 珍しいな、東が女の子を名前で呼ぶなんて」
「そんなことないですよ。余計なこと言わないでください理事長」
……?
少しだけ焦った様子を見せた舜先輩を不思議に思いながら、その後ろをついていく。