総長さま、溺愛中につき。①〜転校先は、最強男子だらけ〜
誰とも違う、ひとりの存在。
まわりにとって当たり前のことが、俺たちにとっては当たり前じゃなかったもの。
心のどこかでずっと憧れていた。
かよと俺を、一括りにしないで、ただの俺自身を見てもらうことを。
双子じゃなければ……と、思ったことも何度かある。
きっと、かよも考えたことはあるんだろう。
けど、お互いに口にしたことはなかった。
それを口にするということは、お互いの存在を否定することになるから。
俺はかよを嫌いなわけじゃないし、かよは俺にとって必要な存在。
別に、かよさえいてくれればいい。俺のことはなんでもわかってくれるし、気を使わないし。
俺とかよは一心同体なのだと、いつしか自分自身に言い聞かせるようになった。
とっくに諦めていたんだ。仕方ないんだと。俺たちは、生まれた時からそういう運命なんだって……。
それなのに――。
「ふ、ふたりとも、どうしたの……?」
呆然としている俺たちを、心配そうに見てくる地味メガネ。……ううん、違う。