総長さま、溺愛中につき。①〜転校先は、最強男子だらけ〜
――白咲、由姫。
「おいクソカス双子!!」
離れたところから、邪魔者の声がした。
激怒している氷高を、いつものように由姫がなだめている。
「……ちっ。由姫、戻ろ」
「うん! 弥生くんと華生くんも戻ろうっ」
氷高に手を引かれ、先に体育館へ戻っていった由姫。
俺たちは少しの間、ぼうっとその後ろ姿を見つめた。
「……なあ、かよ」
俺が考えてること、お前ならわかるよな?
「由姫……俺たちのにしよう」
そう言うと、かよは俺とそっくりな顔で、うれしそうに微笑んだ。
「うん、俺も同じこと考えてた」
……ふっ、さすが双子。
誰かに見てもらえることが、こんなうれしいことなんて知らなかった。
それを教えてくれたのは、まぐれもなく由姫だ。
そんな存在に出会ってしまったら、手に入れずにはいられない。
氷高も露骨に由姫が好きみたいだから、奪うのは難しそうだけど……絶対諦めない。
他の何を譲っても、由姫だけは譲りたくないと思った。
俺たちに、唯一が見つかった瞬間。