総長さま、溺愛中につき。①〜転校先は、最強男子だらけ〜
「でも、こいつら急に手のひら返しやがって……」
手のひらを返すっていうか……ほんとにいったい、何がキッカケになったんだろう。
今朝まではいつもどおりだったし、体育の授業の時も……。
ふと、さっきのことを思い出す。
もしかして……あのどっちがどっちかわかるのか、のくだりから……?
……いや、でもそんなことで変わるはずないし……。
何はともあれ、嫌な気はしなかった。
むしろ、うれしいくらい。
「私も……ふたりと仲良くなりたいと思ってたからうれしいよ」
そう言って微笑むと、弥生くんと華生くんはうれしそうに笑った。
そして、抱きつく腕にぎゅっと力を込めてくる。
「由姫……」
「へへっ」
こんなかわいらしくなった理由はわからないけど……同じクラスでいつも一緒にいるから、仲良くなりたいと思ってもらえるのは大歓迎だ。
「由姫がこう言ってんだから、お前は黙ってろよ!」
弥生くんが、拓ちゃんにべーっと舌を出した。
拓ちゃんは怒るかと思いきや、驚きのほうが大きかったらしい。
「マジでなんなんだよこいつら。態度変わりすぎだろ……」
そう言って、頭をかかえた拓ちゃん。
「俺も……。こいつらがこんな懐くなんて、由姫……何したの……?」
え、えっと……私が、聞きたい……。
「早く食堂行こ、由姫」
「今日は由姫、俺の隣座ってね」
「う、うん」
満面の笑みのふたりに、こくりと頷いて返した。
弥生くんと華生くんはなぜか、異様なくらい私に優しくなった。
その日の放課後。
あのあとも、ふたりともすごく優しかったな……。