総長さま、溺愛中につき。①〜転校先は、最強男子だらけ〜
それに、蓮さんのこともまだ知らないことばかりだし、容易に聞くのは得策ではない気がする。
「ん? どうした?」
私の視線に気づいたのか、こっちを見ながら不思議そうにしている蓮さん。
「い、いえ」
「……? そうか」
蓮さんは、食べた食器をシンクに持っていこうと立ち上がった。
「あ、私がするので置いといてください!」
「いや、こんくらい自分でする。由姫のも貸して」
私の分まで持っていってくれた蓮さんにお礼を言うと、「俺のセリフ」と笑われた。
「美味かった。……また作って」
ふっと笑みをこぼす蓮さんに、うっ……と言葉が詰まった。
またこの笑顔……れ、蓮さんの笑顔は凶器になるから、あんまり簡単に微笑まないほうがいいと思いますっ……。